自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本
ホームあゆみ会員募集リンク問い合わせ

あゆみ一覧へ

ニュースレター6号 より 2005.12.08


自衛隊のイラク派兵を1年再延長する閣議決定に抗議する声明


本日(8日)午後、小泉首相はイラクに派兵されている自衛隊の活動の1年延長などを閣議決定しました。自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本は、この決定にたいして満腔の怒りを込めて抗議するものであります。

そもそも、イラク戦争に大義がなかったことは、すでに世界中に知れ渡っています。最大の理由とされた大量破壊兵器はイラクで発見することはできず、国際テロ組織と呼ばれるアルカイダとの関係もついに明らかにすることができませんでした。先制攻撃による開戦とその後の占領は明らかに国際法に違反する侵略そのものです。

このイラク戦争の原点についての反省も、さらにはこれまでの自衛隊の活動実態の説明と、それがイラク特措法の趣旨に違反していないかなどの検証も一切なされないまま、「国際社会の一員としての責任を果たすことが国益に繋がる」という小泉首相のワンフレーズの説明だけで乗り切ろうとする姿勢は「なし崩し」延長そのものです。

イラク現地での自衛隊の活動の目玉とされた給水活動は今年1月で終了し、学校や道路の補修活動などの時々の視察、完工式への出席以外はほとんど宿営地のコンテナの中でじっと耐えるだけという自衛隊の活動が、イラクの人たちに歓迎されているなどと呼べるものではありません。6月には路肩に仕掛けられた爆弾が爆発し、装甲車両に被害が出ました。宿営地に打ち込まれたロケット弾攻撃も10回くらいに及びます。特に今月額賀防衛庁長官がサマワを訪問し安全宣言した翌日、サマワ市内で自衛隊駐留に反対するデモが行われるなど特措法で定める「非戦闘地域」という概念はすでに死語に近くなっています。 こうした派兵の実態についての徹底し た検証や議論もなく、何の説明責任も果たさないまま「日米同盟最優先」という小泉政権の卑屈な対米従属の政治姿勢を国民に押しつけ、「人道復興支援」の内実すら曖昧な状況の下、自衛隊員をさらに派兵し続けることはイラク特措法の目的も大きく逸脱するものです。

私たちは熊本の第8師団の派兵差し止めを求めて訴訟を起こしました。残念ながら10月末から第8師団の隊員はイラクへ派遣されてしまいましたが、今後さらにサマワの情勢は悪化することが心配されます。自衛隊にたいする期待が消え去り、単なる占領軍の一員として、攻撃の対象にされる可能性が高くなっています。

一刻も早く自衛隊のイラクからの撤退を求めます。自衛隊員も国民の一員として「平和的生存権」が保証されています。劣化ウラン弾による汚染被害が心配される状況があり、私たちは今後、現地に派兵されている隊員の安全確保義務を政府がきちんと果たすことも同時に求めます。

本日の政府の派遣延長の決定にあらためて抗議するとともに、自衛隊の即時撤退を目指して今後も法廷内外で原告支援者一体になって闘うことを宣言します。

2005年12月8日
 
自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本
【共同代表】藤岡崇信 牟田善雄 中松健児

(※この声明は12月8日に報道機関へ送付し「熊日」「朝日」など各紙で紹介されました)


このページの上に戻る