自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本
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ニュースレター10号 より 2006.11.08

アメリカ中間選挙で共和党敗北!
裁かれたイラク戦争の大義!

ニュースレター10号記事
「自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本」事務局長 田中信幸


11月7日に行われたアメリカの中間選挙(米国の大統領選挙の中間期に行われる2年ごとの議員選挙。下院議員の全員と上院議員の3分の1が改選される)で上院と下院の両方でブッシュ政権与党の共和党は敗北した。今回の選挙の争点はブッシュ政権が始めたイラク戦争であった。アメリカ国民はこのイラク戦争にNO!という判断を下したのだ。

   ●イラク戦争に審判が下された!

中間選挙直前アメリカの有力メディアは共和党敗北の予想を立てており、米軍の機関紙でも「ラムズフェルドは更迭されねばならない」という主張がなされるという有様で、カリフォルニア州知事選では現職のシュワルッネッガー知事は共和党でありながらカリフォルニアを訪問したブッシュに会おうともしなかった。
 イラク戦争でのアメリカ軍の死者は10月には最悪の100人を突破し、開戦以降の戦死者数も2900人を超えている。犠牲者は増え続けるにもかかわらずイラクの平和と安定のめどは立たず、泥沼化の様相を深めている。国内では大多数の国民は「テロ」の脅威におびえながら生活を送り、戦費拡大の帳尻あわせのために教育や医療・福祉の予算はカットされ、経済格差と貧困の拡大は深刻化する状況にある。

   ●草の根民主主義の勝利

 アメリカ国民はこうしたブッシュ政権の大儀なきイラク戦争とそれがもたらす深刻な国内状況に対してはっきりと拒否したのだ。今回の選挙で大きな働きをしたのは[AVSWER]や[NotInOurName]などに代表される市民運動、イラク帰還兵や戦死者の家族たちなどの草の根市民運動の力だ。帰還兵たちはイラクで体験した大儀なき戦争の真実をアメリカ国民に伝え、市民運動家たちは巨額の戦費支出が福祉切り捨てや医療費高騰などすべての原因であり、戦争と国内での格差はリンクしていることを多くのアメリカ人に訴えた。
 民主党が勝利したと言ってもその勝利は国民が民主党のイラク政策を支持したからではない。民主党もイラク開戦に賛成した経緯があり、イラクからの撤退など出口戦略を提示しているわけでもない。2大政党制というアメリカの選挙制度によって「勝利」が転がり込んだというわけである。ブッシュ政権は選挙後直ちにラムズフェルド国防長官を更迭し、パパブッシュ大統領時代の国務長官であったジェームズ・べーカー氏を代表とする「イラク研究グループ」にイラク政策の全面的な見直しを指示した。新国防長官に指名されたゲーツ元CIA長官もイラク研究グループの一員である。アメリカ議会では今後イラクからの撤退を含めた「出口戦略」をめぐって民主党との駆け引きが始まろうとしている。


   ●安倍首相は自衛隊を撤退させよ!

 問題は日本の安倍政権である。安倍首相は「当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があった。」開戦自体は「正しい決定だった」と言い続けている。アメリカでもイギリスでも開戦のウソが議会で認められたにもかかわらず、日本ではこのウソが「正しかった」として通用するのだ。APECでも安倍首相はブッシュ大統領に、「引き続きイラク復興を支援したい」と表明し、バグダッドなど激しい戦闘が続いている地域への航空自衛隊による米軍兵員・軍事物資の空輸継続を約束した。
安倍首相はアメリカ国民の審判を重く受け止めイラクでの非人道的な無差別攻撃支援をこれ以上継続すべきではない。ウソで始められた戦争の誤りを認め、自衛隊を直ちに撤退させることこそが求められている。


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