自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本
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ニュースレター10号 より 2006.11.07

※私達は、第7準備書面(2006.10.10) 第1 請求の趣旨の変更により《被告は,「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法」により,航空自衛隊をイラク及びその周辺地域並びに周辺海域に派遣してはならない。》としました。その内容に関連して、「ニュースレター10号」の記事を掲載します


ニュースレター10号記事

空自派兵継続に向けたイラク特措法延長を許すな!


『読売新聞』11月7日号は以下のような報道をした。

   イラク空自派遣、来年7月まで延長へ…来月閣議決定

(一部引用)
政府は6日、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派遣の基本計画を変更し、12月14日までの派遣期間を特措法の期限である来年7月31日まで延長する方針を固めた。

陸上自衛隊のイラク撤収後も輸送支援を続ける航空自衛隊に対する多国籍軍や国連のニーズは高く、引き続き活動を継続する必要があると判断した。基本計画の変更は12月上旬に閣議決定する。 (引用終わり)

  ■拡大する航空自衛隊の戦争加担

政府は7日、イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊派兵の基本計画を変更し、本年12月14日までとなっている航空自衛隊(空自)のイラク派兵期間を同法の期限一杯である来年7月31日まで延長する方針を固め、12月上旬に閣議決定する見通しとのこと。

多くの国民は自衛隊が現在もイラクで米軍支援の活動を行っていることをあまり意識していないこの国の状況下ではこの報道があまりニュース番組の話題になることもなかった。しかも発表日がアメリカの中間選挙の結果が判明する8日を避けて7日にこっそり行うというやり方をみても政府の自信のなさが伝わってくる。自衛隊のホームページでも米軍支援活動の実態はほとんど報道せず、「国連職員輸送」の写真を載せてそれを主な活動として紹介している。

本年7月にイラク南部サマワ駐留の陸上自衛隊(陸自)が撤退した後も、空自は輸送活動を継続し、バグダッドや北部アルビルなどへと活動範囲を拡大した。C130輸送機3機と隊員約200人の態勢でクウェートのアリ・アル・サーレム空軍基地を拠点とし、多国籍軍兵士とその“関連物資”を輸送している。7月17日の陸自撤兵後から11月5日まで、すでに59回も輸送活動を行っている。

これは、明らかに憲法9条違反している。「安全確保支援活動」という名の「後方支援活動」は、戦闘行為に欠かすことのできない「兵站活動」である。これは、国際的にも常識だ。兵站活動は「戦闘行為の一部」であり、政府がいう「武力行使と一体化」そのものである。空自の派兵期間延長は、違憲違法行為の延長そのものである。私たちはこのような違憲行為を見過ごすことはできない。米軍がイラクの一般市民を巻き込んで無差別殺戮行為を繰り返しているが、まさに自衛隊はその共犯者としての姿を今イラク国民の前にさらけ出しているのだ。

  ■海外派兵恒久法が目論まれている!

安倍政権は、海外派兵を本来任務とする自衛隊法の「改正」、防衛「省」への昇格、改憲のための国民投票法の成立、更には、自衛隊をいつでもどこにでも日本の意志で派兵できる「派兵恒久法」の成立に意欲を見せ、実質的な「改憲」を進めようとしている。

自民党防衛政策検討小委員会(委員長・石破茂元防衛庁長官)は8月23日、自衛隊が海外で活動する際の恒久法「国際平和協力法案」の素案を了承した。必ずしも国連決議や国際機関の要請を活動の前提とせず、隊員の武器使用基準を緩和することで、海外での軍事行動に日本が「主体的かつ積極的に寄与する」ことを目的としている。

イラクでの人道復興支援活動などこれまでの海外派遣活動では、その都度個別に法律を制定し対処してきたが、「機敏に対応できない」(防衛庁首脳)などの理由から恒久法の制定を打ち出した。

素案では、国連決議や国際機関の要請がある場合に加え、「わが国が国際的協調の下に活動を行うことがとくに必要だと認められる事態」であれば、国連などの“お墨付き”がなくても活動は可能だとした。

具体的な活動内容では、これまでの人道復興支援、停戦監視、外国の軍に対する後方支援に加え、安全確保や警護、船舶検査も対象としている。安全確保はイラクでの治安維持活動を想定。船舶検査はテロリストの移動防止や、経済制裁の実効性確保を目的としている。

武器使用では、現行では自衛隊員が行動を共にしていない限り、日本人や、日本と協力関係にある外国の部隊が攻撃を受けていても、救出などのために現場へ急行し武器を使用することはできない。素案は自衛隊の「活動実施区域内」であれば、そうした活動と武器の使用を可能とした。

  ■極限のなし崩し改憲攻撃を許すな!


「国連決議も必要なく、国会の事前承認などを条件に政府の判断で派遣できるようにする」ということはアメリカが国連決議も無視して単独覇権主義を掲げて始める軍事介入に国会決議だけで参戦できるというのだ。
安倍首相は10月23日の参院本会議で、「国民的議論を十分に踏まえた上で、幅広く検討を進めていく」と述べ、積極的に推進していく姿勢を示した。

イラクへ派遣されたC−130輸送機
自民党内には慎重論もなくはないが、安倍首相は来年の通常国会に提出すると意気込んでいるという。この法律が通れば改憲の意味もなくなるほど超改憲法案である。絶対に許してはならない。


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