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より 2006.06.20
自衛隊を守る役目のイギリス軍とオーストラリア軍がサマワの治安維持活動を放棄せざるを得なくなったことから、自衛隊の撤退は決まりました。つまりイギリスもオーストラリアもこれ以上犠牲者は出したくないという国内情勢から政治決断をしたということです。
自衛隊には「人道復興支援」のために単独でサマワに残るという選択肢もあり得たのですが、そうしませんでした。つまり自衛隊の活動がほんとうにイラクの人たちの生活の向上を願ったものではなく、あくまでも多国籍軍の一員として人道復興の仮面をかぶりながら占領活動の一翼を担ったという事実しか残りません。
しかし自衛隊は治安維持の任務も担いながらあくまでも米軍と行動をともにする選択も出来ませんでした。私たちも含めて全国11裁判所で13訴訟を闘ってきた原告はじめ、イラク戦争に反対する国内世論を政府が無視することは出来ず、憲法9条に縛られたのです。
ところが、報道によればクウェートに駐留する航空自衛隊は陸自撤収後もC−130輸送機3機体制でクウェートとイラク全土24空港間において米軍兵士や軍事物資の輸送任務を拡大することも政府は発表しました。これこそより実質的な米軍への貢献であり、「人道復興支援」というイラク特措法の看板は消滅し、米軍の軍事作戦を支える「兵站活動」そのものとなります。国民の目が届かないことを良いことにさらなる米軍への従属、軍事一体化に踏み込み、憲法9条を破壊する行為であることはいうまでもありません。
私たちは、陸上自衛隊撤退が遅きに失したとはいえ実現することになりこれを歓迎する。しかし、この撤退は米英軍によるイラク戦争及び占領の失敗の結果であり、これに追随する日本政府の「人道復興支援」の口実に基づく派遣の欺瞞性が白日の下にさらけ出されたものとしてみておく必要があります。政府は憲法9条を完全に踏みにじることは出来ませんでした。
その他海上自衛隊も「テロ特措法」に基づいてインド洋での米軍などへの給油活動を継続しており、その具体的な活動内容は国民に明らかにされることはありません。重大な憲法違反行為です。
私たちは更に裁判を通じて、この政府の行為の一つ一つを検証し、それがいかに国民の平和的生存権を破壊してきたのかを法廷で明らかにしていこうではありませんか。
陸上自衛隊イラク派遣部隊の撤退発表に関する声明(イラク派兵違憲訴訟熊本弁護団)