自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本
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資料  2007.09.10
あゆみ第10回口頭弁論(原告本人尋問)参照

意見陳述一覧 参照

[8]N・Kさんの本人尋問(本人調書)

(※一部伏せあり)



第10回口頭弁論
2007年9月10日 熊本地裁

原告:N・K




原告ら代理人 (河口)


甲第71号証を示す

 1
この陳述書は私があなたからお話を伺って、その伺ったことを基に文書にして、内容が間違いないことを確認してもらったうえで一番最後に署名と押印をしてもらったものですね。
はい。
 2
内容は正確ですね。
はい。
 3
この陳述書をべ一スにしてお伺いしていきます。この陳述書ですけれども、御長男のことがかなり中心的に陳述してありますので、まず御長男のことをお伺いしたいんですけども、今御長男は小学校5年生ということでいいですか。
はい、そうです。
 4
どういう性格の方でしょうか。
楽しいことが大好き、お笑い系なんかが好きで、あとサッ力一や野球などスポーツがとても大好きな楽しい性格の人です。今いろんなことに興味を持らだして、いろいろとチャレンジしていこうとしてるところです。
 5
御長男にはどういった人生を送ってほしいというふうにお考えでしょうか。
今のままいろいろと興味のある分野にチャレンジしてほしいですし、あと一人っ子ですのでいろんな所に友達を作ってほしいなと思っています。それも国内だけでなくつて、国外、世界各国いろんなところに友達を作って、今後世界的な視野でもって自分の人生を送っていってくれるといいなと思っています。
 6
今お話しいただきましたように、御長男の人生に対して将来こうなってほしいというお考えがあるということですけれども、今回のイラク戦争、あるいは自衛隊のイラクへの派兵というものがその御長男の将来の人生に対して何らかの影響を与えるんではないかと、そういう心配はあるんでしょうか。
はい、あります。これは子供だけでなくて、私たちみんなのことですけれども、もう既に日本はテロのターゲットになっているというようなことを何かの新聞や雑誌で読んだことがあります。ということは、もう既に私たちの日常生活が脅かされているんじゃないかなと思いました。また将来のある子供にとって、これから先どんどん世界に出ていってほしいと思っているのに、もうそれもひょっとしたらいろいろと脅かされることがあるんじゃないだろうかとちょっと不安に思っております。
 7
あなたは、職業の関係ですけれども、現在は高校の図書館で勤務しているということでいいですか。
はい。
 8
司書として勤務されているわけですね。
はい、そうです。
 9
陳述書にもあるんですが、その勤務先の高校の生徒さんが自衛隊に就職されるケースがあるということですね。
はい。
10
今まで大体何人ぐらいの方が、知っておられる範囲で自衛隊に就職されたんでしょぅか。
私、高校に出てから13年ぐらいになるんですけど、この間、私が知ってる限りで20人弱ぐらいだったろうと思います。私は担任など持ってませんので、実際はもっと人数が多いんですけれども、私が親しく接した子たちはそれくらいの人数だったということです。
11
そういうふうにじかに接した高校生の生徒さん方が自衛隊に就職されたということをどういうふうに思われましたか。
自衛隊に合格したというときに本人も喜んでいるし、周りの教員や親御さんも喜んでいるので、私も一応良かったねとは言いましたけれども、内心とても複雑でした。どうしてかというと、もう既にそのころPKOなどで海外派兵が始まっていまレたので、もうこの子たちが一体どういうふうになっていくんだろうというふうな心配のほうが先立っていまして、ちょっとそういう子たちにも水を差すような言い方ではあったけど、何かあったらもう辞めて戻っといでみたいなことを言ったこともあります。
12
今回の自衛隊のイラク派兵においてもやっぱり自衛隊に就職された生徒さん方に何か危険なことがあるんではないかと、そういう心配があったということですか。
はい。とてもそこの所が心配でした。これまではPKOといっても、まあまだ安全な方かなと自分に思い込ませるようにしてたんですけれど、今回はどう見ても、国は、政府は違うと言いますが、どう見てもあれは戦争をしている危ない状態の国への派兵でした。だからひょっとしたら私の知ってる子たちが自衛隊で派兵されてるんじゃないだろうかと思ってもうとても不安で心配でたまりませんでした。
13
あなたは平和的生存権という権利をどういった内容の権利であるというふうにお考えでしょうか。
まずは、誰もが毎日の日常生活を脅かされることなく安全に暮らしていけるという権利であろうと思います。もっと具体的に私自身に引きつけて言いますなら、私とか私の子供、それから大切に思っている家族や将来のある若い人たちも、私で言うならば高校を卒業していった子供たちなんかなんですけれども、そういう人たちが今後戦争の危機に遭うことが絶対にないようにしてほしいんですね。その危機に遭うことなく平和に暮らしていける、地球規模で動ける状態ではありますので、どこにでも気軽に安全に出掛けていける、そういうふうな権利であろうと思っています。
14
今おっしゃったような平和的生存権というものが今回の自衛隊の派兵で侵害されたというふうに今実感されていますか。
はい。とてもそう思っています。
15 先ほどおっしゃったような平和的生存権というものがイラク派兵で侵害されて、具体的にはもうちょっと詳しくおっしゃっていただいていいですか、御長男のことやら。
先ほども言いましたように、子供にはこれから先世界的に羽ばたいていってほしいなと思っているんですが、今の情勢など、特に今回のイラク派兵のことなどを見ていると、ちょっとよその国に行ってくるよといったときにひょっとしたら止めてしまいたくなるような、そんな矛盾した気持ちが私自身の中にあります。本当ならもっとどんどんいろんな国に行ってほしいし、友達も作ってほしいなと思ってるんですけれど、それが脅かされる状況にあるんじゃないかと思いました。
16 御長男の将来の可能性とかが侵害されるかもしれないというのはあなた自身にとってはどういった苦しみがあるんでしょうか。
とてもつらいです。私自身はこれまで平和な世の中でいろんな体験をしてきてますし、エスペラントといって国際共通語なんですけれど、私はそのエスペラントを話しますので、エスペラントという国はないんですけど、全世界いろんな国にエスペランチストがいます。その人たちのところに遊びに行ったり交流を持ったりしてきました。私自身はそのようにしてやってきてるのに、子供はそういうことができるんだろうかと、そういう不安があります。
17 最後に今おっしゃったようなことに付け加えてほかに言いたいことというのがあったらおっしゃってください。
私たちはもちろんのことなんですけれども、やはりこれから先、生きていく人たちにとって日本をもうちょっと良くしていかないといけないんじゃないかと思います。平和であってほしいと思います。だから裁判所には今回のこの判決は是非とも憲法の判断にのっとって、きちんと違憲であるということを、判決を出してほしいと思っています。

以  上     
    






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