自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本
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 資料  2004.11.23

  あゆみ結成大会のページ参照

結成趣意書

自衛隊イラク派兵違憲訴訟の会・熊本結成趣意書

1,なぜ私たちは裁判を起こすのか

米英軍等によるイラク戦争は、第二次世界大戦でナチスドイツや旧日本軍が行った戦争と同様、明白に不正義の侵略戦争です。米英軍が開戦の最大の理由としていた大量破壊兵器はイラクに存在しませんでした。これは米国の調査団の最終報告で確認されました。また9.11事件とイラクとの関係も何ら証明されていません。米学者らの発表によると、この戦争でイラク人の死者は10万人を超え、米英軍に殺害された死者の多くは女性とこどもでした。一方、アメリカ兵の死亡も1000人以上に及んでいます。

ところが、日本政府はこの違法な米英軍のイラク戦争と占領を支持し,日本国憲法に違反するイラク特措法を「人道支援」の名の下に制定して、重武装の自衛隊をイラクに派兵しました。さらに、今年6月の主権委譲後は、ブッシュ大統領と小泉首相の口約束で、自衛隊が「多国籍軍」へ参加し駐留を継続しています。これは決定的に憲法9条に違反しています。

自衛隊が米英占領軍の一員として派兵されたことにより、「親日的」といわれてきたイラク国民の反日感情が強まり、日本人が現地武装勢力からターゲットにされる状況となりました。日本人の犠牲者も奥克彦、井ノ上正盛、橋田信介、小川功太郎、香田証生さんら5名に及び、人質事件も発生しています。私たちは国内でも「テロの脅威」におびえる生活を政府によって強制され、戦争関連法案によって基本的人権が次々と侵害を受け、憲法が保障する平和的生存権はいま風前の灯火です。

これではいけない、何とかしてこの動きを止めなければという思いから、全国的に始まったイラク派兵差し止め訴訟の動きに注目し、イラク派兵反対運動に関わってきた人々が中心になって訴訟の準備に取りかかりました。8月4日に第1回目の相談会を開き、これまで3回の相談会を重ね、弁護士の方々との折衝などを行い、本日の結成へといたりました。

2,憲法9条に決定的に違反する自衛隊派兵

政府はこれまで「自衛のための必要最低限の実力を保持することは9条に違反しない」「海外派兵はしない」「多国籍軍への参加は憲法違反」という解釈をとってきました。また、今回の派兵の目的が「人道復興支援」であるから憲法の範囲内であるとも主張しています。

しかし、これまでのPKOとも違い、イラクは戦場への派兵であり、国連の要請も受けていません。イラクから日本が侵略を受けた事実がないのに、戦闘が続くイラク領土へ武装した軍隊を派兵することは、その名目が何であれ、侵略軍への加担であり、武力行使そのものであります。まして、政府が一貫して多国籍軍への参加は憲法違反であると厳しく戒めてきた解釈を180度転換して、主権委譲時に閣議決定だけでいとも簡単に自衛隊の多国籍軍参加を決定したことは2重3重の憲法違反であります。

またイラク特措法では「現に戦闘が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」のみで自衛隊の活動は実施できると決めています。しかし非常事態令が出されたイラク全土が戦闘地域であることは周知の事実であり、サマワでも自衛隊宿舎などが攻撃を受けたのは実に10回以上にも及び「非戦闘地域」の要件をまったく満たしておらず、イラク特措法にも違反しています。かろうじて自衛隊員に被害者が出ていないというだけで、今後どうなるかまったく予断を許せません。

3,憲法が保障する平和的生存権は著しく侵害されている

私たちは憲法前文、9条や13条、25条などによって平和のうちに生活する権利を保証されています。憲法が定める平和主義とは、戦争もなく軍備や戦力もなく、恐怖と欠乏(貧困・飢餓など)に襲われることもなく生きる権利であるという積極的な平和主義に貫かれています。もし政府が憲法の平和主義に反する行動をとり、国民の平和的生存権を侵害するなら、私たちは自らが有する平和的生存権の予防・回復を求めて裁判所に提訴する権利を有しています。

自衛隊が多国籍軍として駐留する限り、私たちはは国内外で生命・身体の危険にさらされ続けます。すでにイラクでは犠牲者が出ており、飛行機や地下鉄に乗るときも常に「テロの恐怖」におびえなければなりません。表現や移動の自由が次第に侵害されており、自衛隊宿舎に置きビラしただけで逮捕されるという事件も起きています。こうした戦時に於ける基本的人権に対する侵害こそが平和的生存権の侵害状況そのものです。もし現時点で平和的生存権の侵害が認められないとすれば、さらなる戦争状態、戦火のただ中に於いては何も言えなくなってしまいます。

4,司法の場で政府の違憲行為をただし、派兵を差し止めに追い込もう

これまで日本の裁判所は憲法9条に関わる司法判断から逃げまくり、平和的生存権の主張に対しても、「裁判に値する具体的・法律的な争訟性(紛争性)がないので却下する」つまり「門前払い」として裁判の土俵に載せないようにしてきました。

しかし、小泉内閣がまるで憲法などあってな無きが如しとでもいうような法律を無視した強引なやり方で、戦争の既成事実作りに血道をあけるという事態を前にして、いま法による支配は崩れ去ってしまおうとしています。ちょうど戦前の15年戦争に突入するときのように戦争の既成事実の積み重ねの前に、司法が権力と一体化し暗黒の道へ転げ落ちるのか否か問われています。

イラク派兵違憲訴訟は、決定的な憲法違反であるイラク派兵について、裁判所に門前払いすることなく、今日イラク派兵を根拠として引き起こされている具体的な人権侵害のすべてにわたってきちんと吟味して、個々の人権の回復をなしていくという司法の本質的な役割立ち返ることを求め、その元凶たるイラク派兵の差し止めを目指します。

県内各地から原告・サポーターが立ち上がり、憲法やイラク戦争について学習を深め、法廷で意見表明して裁判に勝利しましょう。そしてイラク派兵を差し止めに追い込みましょう。ここにイラク派兵違憲訴訟の会・熊本の結成を宣言します。

2004年11月23日



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