2006.01.19
第8回口頭弁論参照
平成17年(ワ)第367号 自衛隊イラク派遣差止等請求事件 |
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原 告 藤 岡 崇 信 外45名 被 告 国 |
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証人申請に関する追加意見書
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2007(平成19)年1月19日 |
熊本地方裁判所 | |||
第2民事部 御 中 |
原告ら訴訟代理人 弁 護 士 加 藤 修 外 |
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頭書事件につき,原告らは,以下のとおり,平成18年11月14日付被告意見書に対し,反論する。 1 被告は,要するに原告が証人で立証しようとすることは,「事実」ではなく「論理」であるから証人調べの必要はないというのである。また,書証として提出されているから,これをもって十分であるというのである。 2 まず,平和的生存権について述べると,これまでの平和的生存権否定論については,自衛隊が海外派兵されるに至った現段階においては,通用しうるものではない。平和をめぐる状況の変化,わが国政府のとる軍事政策の変化に伴って,平和的生存権の具体的内容も変容するのである。 従って,この変容の内容は,具体的事実の変容であって,その事実的内容の変容をどのように捉え,その結果平和的生存権がいかなる意味をもつのかということを解明しなければならないのである。 3 イラク派兵に関する大阪地裁の判決(平成18年7月20日)では,次のように述べている。 「原告らが,本件派遣等によって,生命・身体に対する危険を覚えたり,戦争に加担しないで平和にいきたいという思い,人殺しに加担したくないとの信念,自己の納める税金を戦費に使用されたくないとの願いを否定され,精神的苦痛を被ったことが認められるから,原告らが,私人としての原告らと被告との間に利害の対立紛争がないにもかかわらず,本件訴訟を提起したものであるとまで言えない」 として,一歩進んだ判断を示したのも,現時点での平和的生存権の主張に一歩理解を示したものと評価することができる。 4 従って,イラク戦争への重装備での参加という事実と,これに対する平和的生存権というものの事実変容について,憲法学者の見解を聞く,その中では「いかなる事実の変容のもとに,いかなる平和的生存権(事実)が主張しうるのか」との点をわかりやすく述べてもらうことが必要なのである。 また,わが国が今,どこまで事態が進行した中にいるのかを,事実として明らかにすることが平和的生存権を考慮する際に必要なのである。 5 また,陸上自衛隊・航空自衛隊の装備及びそれがどのような意味をもつ装備なのか,そして,イラクで自衛隊が何をしているのかを明らかにすることは,平和的生存権の内容を確立する上で欠くべからざるものである。 最近明らかになったところによれば,自衛隊のイラクでの活動は,米軍支援の活動に集中してきている。 札幌地裁での山田朗証言は,主として陸上自衛隊に関するものである。現在重要視されている航空自衛隊についての装備及びその意味を明らかにすることは,わが国の平和に対する,また,軍事政策の内容で明らかにして,原告らの主張する平和的生存権の理解のため不可欠である。 山田朗証言も,自衛隊の派遣の変容並びに装備の変容という軍事に関する証言であって,決して論理の問題などというものではないのである。 6 従って,静岡地裁では,憲法学者の山内敏弘,札幌地裁では,軍事専門家の山田朗氏が証人として採用されたのである。 7 よって,原告らは,小林武・山田朗両証人の採用を求める次第である。 |
以 上 |